約 1,437,454 件
https://w.atwiki.jp/kword/pages/32.html
アレクサンダー・ガルシア・デュットマン http //back.honmaga.net/?month=200309 より。 デュトッマンが思い入れを持つ本。 中学生のときの読書体験=メルセ・ロドレダMerce Rodoreda=マルセ・ルドゥレーダ「ダイヤモンド広場」朝比奈誼訳、晶文社、1974。 ここ十年の最愛読書=ジュリアン・グリーン『レヴィアタン』 =グリーン全集8巻、人文書院 10代に薦める本=アイリス・マードックの『善の至高性』菅豊彦+小林信行訳、九州大学出版会、1992年
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/38065.html
登録日:2017/10/13 Fri 20 51 38 更新日:2024/07/17 Wed 17 10 21 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 DQ10 DQヒロイン おでこ ぺったんこ←ぺったんこじゃないもん アンルシア グランゼドーラ王国 ゴリラ姫 ドラクエ ドラゴンクエスト 勇者 勇者姫 勇者姫アンルシア 姫 早見沙織 王女 神の器 貧乳 金髪 エックス、覚えていてね。 あなたはいつまでも私にとっての、ただひとりの勇者だってことを! 『勇者姫アンルシア』は、『ドラゴンクエストX』の登場人物。 Ver.2追加ディスク『ドラゴンクエストX 眠れる勇者と導きの盟友 オンライン』の実質的な主人公であり、同時にヒロインでもある。 CV:早見沙織(オン版ver5.0~、オフライン、いたスト30th、ライバルズ) ■人物 勇者の力を代々受け継ぐ「グランゼドーラ王国」の姫にして、本作品における 勇者 。 物語の当初は記憶喪失の少女「ミシュア」として生活していたが、記憶を取り戻してトラウマを克服した時に勇者として覚醒した。 ミシュアの間はお淑やかで優しいお姉さんといった感じだが、勇者覚醒後は勇敢で芯の強い性格になる。 一方で年頃の少女らしい面もあり、恋愛話やかわいい服には興味津々。赤色が好きで、赤い服を好んで着ている。 ピアノは壊滅的に下手で、バレンタインではオリハルコンの如き硬さのチョコ(?)を作り出す。 兄であるトーマのことを敬愛している。 幼い頃はアンルシアではなくトーマが勇者だと教えられていたため、自分は盟友になることが夢であった。 しかし大魔王の側近である魔元帥ゼルドラドの襲撃でトーマが自分を庇い落命。 その際に自分こそが勇者であり、トーマは勇者(=アンルシア)の身代わりだったことを知る。 このことがアンルシアのトラウマとなり、彼女は自ら記憶を封印してしまう。 プレイヤーとは勇者と、それを支える盟友という関係性。 様々な困難を共に乗り越える中で、強い絆で結ばれることになる。 エンディング後にトップの台詞を聞いた時は感無量であろう。 ■容姿 口元のホクロがチャームポイント。 体格は比較的小柄で、貧乳。横から見ると無い。 しかし一部の衣装に着替えると、それなりにあることが分かる。盛ったとか言わない。 それなりに気にしているのか、巨乳の魔物に「ぺったんこ」呼ばわりされた際は「……ぺったんこじゃないもん」と呟く。 髪型はブロンドの長髪にヘアバンドをつけたデコ出しオールバックが基本。後述の衣装によってはポニーテールやツインテールにもなる。 やっぱり魔物からは「デコっぱち」と呼ばれる。 プレイヤーからアンルシアへ衣装をプレゼントして着せ替えを楽しむことが出来る。これなんてギャルゲー? 王族の服や勇者のよろいといった正統派はもちろん、ビキニやバニー服といったエロ装備、果ては魔法少女コスやサンタコスといったキワモノまで用意されている。 マニアックな衣装が多いのはディレクターの拘りとのウワサ。 当然ストーリーやバトルではその衣装が反映されるため、趣味丸出しの衣装を着せていることがPTメンバーにバレてしまう悲劇も。 武器も変えられるが、フェンシングのような剣術で戦うので細身の剣がよく似合う。 ■戦闘 通称 ゴリラ姫 。 全体的に高ステータスだが、特にちからがぶっ飛んでいるためにプレイヤーからこう呼ばれてしまう。 バトルマスターのちからを遥かに凌駕し、ちからだけでボストロールの攻撃力に並ぶと言えば分かりやすいだろうか。 レベルを上げてスキルを整えると、キラーマシン2にも匹敵する。 【スキルライン】 勇者専用の5つのスキルライン(勇気・真理・正義・闘志・忍耐)を持ち、プレイヤーが自由に振り分けることが出来る。 勇気:戦闘開始時にバフ付与 真理:攻撃呪文強化 正義:行動速度強化,行動回数増加 闘志:攻撃力強化,攻撃時にデバフ付与 忍耐:耐久力,回復呪文強化 【呪文・特技】 なんと攻撃特技を一切覚えない。 つまり彼女の主力攻撃は 「こうげき」 である。ローレシアの王子じゃあるまいし……。 しかし前述の通りステータス(というかちから)がバカ高いので、ただの「こうげき」とは思えないダメージを叩き出す。 呪文はザオリクとベホイミのほか、デイン系(真理スキル)とベホマラー(忍耐スキル)を覚える。 そこそこ補助役もできるが、攻撃はデイン系を唱えるより「たたかう」ほうが大抵強い。 その他に勇者専用の特技として4つの「破邪の秘技」を使う。 勇者の光 勇者ビーム。 勇者の力を放出して闇のころもを剥がしたり、敵の動きを止めたりする。 勇者の眼 物事の真実を見破ったり、分身や若作りの幻術を解除する。 勇者の盾 勇者バリアー。イベントシーンでよく使う。 周囲を光の結界で守る。 勇者の心 自分や周囲の無気力状態を解除する。 出番が少なく、影が薄い。 【装備】 アンルシアの装備する片手剣と盾はプレイヤーの所持品から貸し出される。 片手剣は「たたかう」と相性の良いはやぶさの剣(・改)を持たせるのが人気。 盾は敵に合わせて耐性を持ち替えることが多い。 【運用】 はやぶさの剣を持たせて正義・闘志に全振りすることで、ゴリラっぷりを最大限に発揮するビルドはもはやテンプレ。 絶え間なく敵を切り裂き、会心の一撃とデバフを連発する姿は勇者よりも破壊神に近い。 たまに魅了されて全滅するのはお約束。 なおストーリーの強敵相手には「勇者の秘技」でフォローに回ることが多いため、ゴリラを極めるより忍耐に振るほうが安定する。 極めたゴリラは後述する王家の迷宮で使うといいだろう。 【オフライン版では】 記憶を取り戻した後にパーティーメンバーに加入する。初期レベルは60。ただし、オン版と同様に一時的に離脱することも。 オン版を踏襲し武器は片手剣だけ。正義パネルで片手剣、忍耐パネルで盾の特技を一通り習得し、攻撃呪文としてライデイン、ギガデインを使用できる。 他にロストアタック、ロストブレイク、ベホイム、スカラ、ピオラ、マジックバリア、フバーハ、ヘナトス、ルカニを習得している。 防具は鎧系が中心であり、身を固めればカチカチになる。 オン版から一転、不死鳥天舞以外の火力はまずまず止まりでゴリラ姫の面影は皆無。 代わりに耐久が高く、フウラの聖なる風を受ければベホマラーも実用的になり、ラグアスが補助で忙しい時にヒーラー役を担うこともできる。 破邪の秘儀は必殺技になっており、テンションをコストに好きなタイミングで発動できる。 魔将戦等の特定の戦闘では特定のタイミングで手番が回った時にテンションが上がる。 なお、勇者の光は食らっても耐性がつかないのでティンクルバトンを回すことでハメ殺しもできてしまう。 このようにアンルシアの強みは基本的に必殺技に集約されているので「必殺技はテンション100消費」のしばりプレイがモロに響く。 ■王家の迷宮 アンルシアとプレイヤー、仲間モンスターの3人PTでダンジョンを探索するコンテンツ。通称デート。 アンルシアの育成はここで行うことになる。 ■活躍 目覚めし5つの種族(Ver.1) 冥王ネルゲルによりレンダーシアごと封印されているため、登場しない。 しかし存在は仄めかされており、OPや初期村イベントで見られる光柱は彼女が勇者に覚醒した証である。 眠れる勇者と導きの盟友(Ver.2) 当初はミシュアとして登場し、後に記憶を取り戻して勇者に覚醒する。 覚醒後の魔勇者アンルシア戦ではDQX初のNPC戦闘員として、プレイヤーと一緒に戦ってくれる。 その後は賢者の試練を受けて「破邪の秘技」を習得したり、王家の迷宮に潜ったりしてしばらく力を蓄える。 大魔王の側近である魔元帥ゼルドラドが四魔将と共に神の緋石を狙ってきた時は、プレイヤーと共に防衛に向かう。 この時は先程の「破邪の秘技」が大いに役に立つ。 勇者の乗り物である天馬ファルシオンが復活後はプレイヤーと共に大魔王の居城へ盛大に乗り込み、魔元帥ゼルドラドを打ち倒す。 この時出発後に彼女の部屋へ行くと、忘れ物を取りにこっそり戻った彼女の姿がある。 大魔王戦は今まで以上に厳しい戦いになるが、アンルシアをしっかりフォローすれば勝機が見えるだろう。 いにしえの竜の伝承(Ver.3) 人間の種族神の依代である「神の器」と判明。 その力を狙われてさらわれてしまい、なんと 2年 もの間出番がない。 (※実装当時のリアル時間。2015年4月のVer3.0から2017年3月のVer3.5まで殆ど出番がなかった。) 嵐の領界で再登場。誘拐されたのは敵勢力からの保護のためだった。 激情の竜エステラ戦に加勢してくれる。何気に新旧ヒロイン対決である。 その後本当の敵勢力にさらわれ、助けに来たプレイヤーが死亡した際は絶望のあまり自分の命を捧げて生き返らせようとする。 最終的に神の器の力で蘇生に成功するが、消耗して退場。 エンディングではラスボスにとどめを刺す手伝いに駆けつけ、脱出の手引をする。 5000年の旅路 はるかなる故郷へ(Ver.4) グランゼドーラが舞台となった4.1で再び活躍。 魔獣ネロスゴーグの不死の力を破る方法を得るため、主人公とともに過去へ行こうとしたが、時渡りの力を持たない彼女ではかなわず、主人公の帰りを祈りながら待ち続けていた。 そして主人公が禁忌の秘術の巻物を持って帰還し、その秘術をもってネロスゴーグを完全に撃破した。 4.2で現代にやってきたメレアーデとは王女同士ということもあり、互いに「ちゃん」付けで呼んで親しくなった。 その後はいつかまた主人公と共闘することを夢見て鍛錬に励んでいるようだ。 いばらの巫女と滅びの神(ver.5) このバージョン以降イベントシーンにはCVが付く事になる。 5.0冒頭、偽物のアンルシアの騙しうちにより上空から落下した主人公を、天馬ファルシオンに乗り救出。 そして偽物を生み出した旅芸人ピュージュを追い詰めるも策略に引っ掛かってしまい、アストルティア侵攻を始めた魔王軍と対時。 敵将ヴァレリアと交戦するも、相手の猛攻に成すすべもなく敗北。軍の撤退後、敗北に屈辱を覚えて修行の旅に出た。 そして5.2のラストシーンで修行を終え、新衣装を身に着け帰還。 5.3にてエステラ、シンイ、ルシェンダの3人共に白いフードを被って魔界に突入。 以前よりパワーアップした戦闘力で魔王らを退け、大魔王と激戦を繰り広げていたが、攻撃した衝撃で仮面が外れた大魔王の素顔を見てしまい、茫然自失となってしまった。 休戦となった後もどうすればいいか困惑していたが、 大いなる闇の根源こと異界滅神ジャゴヌバという共通の敵を討つため、大魔王=主人公率いる魔界の軍勢と手を組むことを決意。 この時を境に設定は元よりステータス的にも超パワーアップしており、レベル上限も60から120になり、ジゴデインや雷刃といった雷属性の呪文・特技を駆使して戦うようになった。 さらに戦闘中自動で「覚醒」し、HPや攻撃力が一時的に強化されることも。 その代わり「攻撃回数+1」が削除されたためはやぶさの剣一択ではなくなり、より攻撃力の高い剣が好まれるようになった。 もうゴリラ姫とは呼ばせない←攻撃一辺倒が強いという意味では結局ゴリラ姫だったりする 5.4にてジャゴヌバの配下である邪神達を倒せるよう、ユシュカと共に「神殺しの秘技」を会得。 アンルシアが名乗りを上げたのは、魔族にだけ会得させないという意地であり、なんだかんだでユシュカとはケンカ仲間に。 一方でイルーシャとも呼び捨てにし合うほど仲良くなったが、彼女の運命を悟ってしまい悲しむことに。 邪神ヤファギルとの戦いではかつて因縁の敵だったヴァレリアと、アンルシアの方から進んで共闘を申し入れた。 その後の会話でもお互いに認め合っていることが窺える。 ■余談 アンルシアの部屋のバルコニーへ直接行けるルーラストーンは夜這い石の通称で呼ばれている。 エックス……。最後まで私と追記・修正してくれてありがとう。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 作成乙。DQX関係の項目も増えると良いんだけどな -- 名無しさん (2017-10-15 17 51 55) 自室への直通ルートを早い段階で解放してくれるヒロインの鑑。なお、侍女と話す機会の方が多い模様。 -- 名無しさん (2018-02-08 01 57 24) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shibumakubungei/pages/104.html
意味を求めて タイトル:意味を求めて 作者:鹿尾菜 掲載号:2013年新歓号、2013年初夏号、2013年夏号、2013年ハロウィン号 ジャンプ用:(1),(2),(3),(4) (1) 「はぁ、はぁ」 僕は、高橋俊哉(たかはし しゅんや)。坂の上の月見坂高校に通っている高校一年生で、もうすぐ二年になる。って、なんで自己紹介してんだ? そんな暇じゃない! 僕はこの学校にバスで通ってるのだが入学してから初めて寝坊して、いつものバスに乗れなかったのだ。つまり…… 「遅刻なんてするもんかぁぁぁ!」 ……今までの遅刻0記録を更新すべく全力疾走中である。なんでこんなに坂がきついのかね? こんなところに学校建てるなんて決めた人はどんな神経しているのだろうかね? 急な坂道を上って疲れたせいなのだろうか、もうすぐ通い始めて一年経つのに今更な事を考えてしまう。幸いなことに僕のクラスは昇降口から一番近いので何とか間に合いそうだ。僕の本気見せちゃうよ? ギリギリ間に合うか間に合わないかのタイミングで坂の上の校門を通過する。そのまま速度を落とさずに昇降口へ飛び込む。我がクラスの靴箱は入ってから3つ目。最短距離でターンし、皮靴を脱ぎ、靴箱に入れ、上履きを取り出し、足を入れる。ここまで約10秒。かなりの好タイム。そのままクラスへゴール! やりました! 高橋選手、見事に世界新記録で堂々の金メダル! おっと? ここで担任が到着した模様です! まさに神タイミングです! ……間に合ってよかったなぁ。 「お前にしてはギリギリだな」 こいつは友達の桜城友都(さくらぎ ゆういち)。この高校に入って初めてできた友達だ。 「あぁ。ちっと人助けを」 「嘘はよくないぜ? お前そんな奴じゃないだろ」余計な御世話だよ。 「本当は?」どうしても言わせたいらしい。 「お前は友達をなんだと思っているんだ? いつものバス乗り遅れただけだよ! 悪かったな!」 「まぁまぁ怒るなよ」 「怒ってなんかねーし」ちょっと怒ってるが。 「そうか? 鬼が、鬼ヶ島の領土をめぐって桃太郎と争ってる時の顔に似てるぞ?」どうしてかこいつと喋ってると怒る気が失せる。というか何を言ってるんだか理解できない。 「どんなストーリーだよ、それ」でもなんかなんて言えばいいかわからないが、いい奴だ。 「おーい、早く席に着けー。HR始めるぞー」担任がまだ立っている生徒に呼びかける。 「ほら席に着けよ」 桜城を追っ払った所で、僕も席に着く。担任が点呼を始める。 やっぱり僕、人助けなんてする柄じゃないって思われているのかな。桜城が何気なく言ったのであろう言葉を思い出す。突然だが僕はいつも面白くてポジティブなキャラを演じている。いや、正確には“演じていた”なのかもしれない。最近はどっちなのかさえ分からなくなってきた。 そして、そんな自分が一番嫌いだった。 “生きる”ってなんだろう。“生きてる”意味ってなんだろう。ふと気が付くと、そう考えている。答えなどないのかもしれない。“生きる”って本当になんだろう…… 「…………い、……おい、高橋!」 「は、はい!」俺なんか悪いことしたか? 「返事ぐらいしろ! 点呼中だぞ!」そうだった。すっかり忘れていた。 「考え事でもしていたのか? 珍しい」みんながどっと笑う。 「いやぁ、あんなことやこんなことを……ね?」またクラスがどっと笑う。そう、いつも通りの光景……。 「何を言ってるんだか。まぁいい。次、寺内!」 「はいっ」 やっぱり考え事なんてするキャラじゃないって思われてんだな、僕って……何考えてんだかね、僕は。よーし、授業の準備っと。 その日の午前もいつも通り授業でもふざけ、皆を笑わせて過ごした。そのまま4時限目が終わり、購買部へパン争奪戦に向かうものや、持ってきた弁当を教室で友達と喋りながら食べるものがいる中、僕はみんなに気付かれることなく教室を抜け出し、一人屋上に向け階段を上っていた。 屋上に行くのは高校入学当初に、偽の自分を演じるのに精一杯だった頃からの習慣である。今となっては“昼休みには高橋に声をかけない”というのが我がクラスの暗黙のルールとなっていた。もしかして宇宙との交信をしているのではないか、などという噂まで流れて“ミステリアスで面白い奴”ということになっている節もある。……宇宙と交信なんてする訳ないでしょうが。桜城もこの事には触れない。あいつは勘が悪いように見えて勘がいいから何かしら感じているのかもしれない。 この屋上はいつも解放されているのだがベンチもなければ花もないただの狭い空間なので、来る者はいない。大体の人は外で走り回るか教室でゲームしている(校則では禁止されているが校則を破りたくなる年頃なんだろう)かである。つまりここは完全に一人の空間である。 扉から屋上に出て、壁に付いている足場を上り一番高い場所にのぼる 「うぅ~ん! 今日は曇りか。」いつも通りに誰も来ない屋上で自分だけの場所のように寝ころび、空を見上げた。 僕は元々、無口な方で自己主張ができず中学校の頃いじめられていた。いじめられていたといっても暴力される訳ではなく、話しかけようと集団に近づくとなにも言わずばらばらに散ってまた別の場所で喋ったり、子供のようなくだらないいたずらを毎日のようにされて困っている僕を遠くで見て笑っていた。ある意味暴力よりもきつかったかもしれない。 「まぁ、気持ちいいからいいか」コンクリートから冷たさを感じる。 でも僕はある時からそんな人たちを別に憎まなかった。確かに嫌ではあったが、人間関係を築く上である者を敵として皆でグループになり、必死に関係を保とうとすると思ったからだ。その敵がたまたま僕だった、というだけだと思った。それは自分がいじめられていることに対する言い訳だったのかもしれない。でもこういう考えに至らなかったら……今はもういないかもしれない。 「風が寒いなぁ。もう一枚着て来れば良かった」意味もなく雲の数を数える。 でも結局、今僕もいじめこそしてないがみんなの機嫌を取って関係を保とうと必死になっているのだ、僕をいじめていた人たちのように……。皮肉と言うかなんというか……。言ってしまえば今、昔とは違う孤独感を感じている。誰も本当の僕を見ていない。弱虫で無口でつまらない存在。それが僕。陽気で授業中でもみんなの調子を取っているのは僕ではない“僕”。偽の“僕”と言う殻の中に一人。たった一人。 「早く春にならないかな」周りを見渡すと裸木ばかりだ。 親はもう死んだ。なんだ? その感情のこもってない言葉は、という人もいるだろうがそう言うしかない。母は僕が産まれた直後に死んだ。そういう事実しか僕は知らない。父は男手ひとつで小学6年生まで育ててくれたが、そこまでいろいろと溜め込んでいたらしく病気で死んだ。父にはお世話になったと思うが、何を言おうが帰ってこない。死んですぐは悲しんだがいつまでも引きずっていても仕方がないと思った。 「春と言えばもう一年経つのかぁ」風が少し強く吹いた。 その後父方の叔父の家に住んだが、実の子でもない僕を兄の残したお荷物のように扱った。僕も特に何も言わず家にも学校にも居場所がなくなった。何度も死のうと思った。生きている意味が分からなかった。でもその度にいずれ何かが起きると信じ、死ぬのをやめた。中学を卒業すると同時に叔父がアパートを借り僕をそこに追い出す形で引っ越させた。つまり今、すべてにおいて孤独だった。 ここから飛ぼうかな。誰か悲しむのかな? いや、すぐに忘れてまた日常が始まるのだろう。その問いに意味がないことを知っていながらも問わずにはいられない。 「……いい事、あるよね?」空に問いかける。もちろん答えはない。そして思うのだ。自分は何を求めているのか、と。いつか起きると信じる“何か”のはなんなのか、と。 キーンコーンカーンコーン 「やばっ! 授業始まる!」僕はいつの間にか流れ出していた涙をぬぐい、偽りの日常へと戻った。 「起りーつ、れーい」とめんどくさそうに日直が言う。 「「「さよーならー」」」その声に続き続き皆も、こちらもめんどくさそうに、言う。 適当なあいさつの後、人それぞれの行動に移る。職員室に帰っていく担任、部活着に着替える者、だるそうに掃除に向かう者。その中で、 「あー、今日も授業終わったー!」桜城がこっちにくる。 「今日も一杯行きますか?」僕は酒を飲むジェスチャーをする。毎日行われる儀式的な物。 「未成年の飲酒は厳禁ですぜ、旦那ぁ」笑いながら桜城が返す。 「じゃっ、普通に帰るかぁ」 「おう! 俺たちみたいな帰宅部はとっとと引き上げるぞ」と桜城が教室から出ていく。 「おい、待てよ!」あわてて背中を追いかける。 そのまま冗談をいいながら二人で坂を下る。坂を下ってすぐのバス停でバスを待つ。 「でさでさ、そいつなんて言ったと思う?」桜城が聞いてくる。 「俺が分かる訳無いだろ。早く言えよ」別に聞きたいわけじゃないが聞き返す。 「そいつさぁ……」 こいつなら相談できるかな? ふと考える。でも何を相談するんだ? 今の僕を理解できる人がいてほしい。でも何を言えば? 何をされたいんだ? 理解されて何になるんだ? 「おい、聞いてんのかよ?」毎日無限ループのように繰り返している思考を断ち切られる。 「あぁ、ごめん」 「もしかして、」 ……え? まさか……。 「あの前の女子に見惚れてたのか?」とそこを歩いている女子高生を指さす。 ……だよな。というか僕は何を期待していたんだ? 「そうそう、あいついい体してんなと思ってね」適当に嘘をつく。 「お巡りさん、こっちです!」そのことを分かっているんだか、分かっていないんだか冗談で返してくる。そして二人で大笑いする。 僕は、何が、どのように、なってほしいのだろう、か。 時間通りにバスが来てうちの学校の帰宅部組を乗っけていく。桜城は2つ目、僕は5つ目で降りる。桜城が降りてから、僕はまた一人になる。ふと窓から外を見るとハトが飛んでいた。 あいつらはいいなぁ。大空を自由に飛べて、何にも縛られないで。なんで人間は脳が発達しちゃったんだろうね。発達してなかったら同族同士が敵になることも、なんで生きているのか考えることもなかったのに。 「えー、次は月見東です」 もう降りる所についてしまった。どうせ家帰っても宿題やるだけだし、ちょっと寄り道しようかな。 そう思ってそこから近くの広場に来た時だった。それは本当に偶然だった。特に意味もなく広場の隣にある、商店街の方を向いた時だった。少し離れていた所にいる男の上着の中に何かが見えた。よく目を凝らしてみるとそれは男が隠すように持っていた……サバイバルナイフ。 おいおい、まさか最近よくある通り魔事件の犯人か? 警察に言った方がいいのか? なんでこんな人気のない所を選んだんだ? なにしたらいいんだ? 僕はプチパニックに陥っていた。もう一度、見間違えかも知れないと思い見てみると、やっぱり見間違えではない。 標的を探しているのか、うろうろしてあたりを見回している。幸い広場には誰もいない。興奮だか恐怖だかでナイフの刃が上下しているように見える。 慣れていないのか……? もしかして模倣犯なのか? どちらにしろ、警察に連絡しなきゃ。 こういう時に限って必要なものがないものだ。……バックの中をいくら探しても携帯がない。そういえば家に置きっぱなしだった。なんてタイミングが悪いんだ! バックから目を上げ、男を探すと、男は何かに狙いを定めたかのように歩き始めた所だった。男の足が震えている気がしなくもない。その目の先を追ってみると、そこにはさっきまでその男以外誰もいなかった広場を通りかかったのであろう中学生とみられる女子が歩いていた。あろうことかイヤホンをつけ何かを聞きながら、携帯をいじっている。大声を出しても聞こえないだろうし、犯人を余計に刺激しかねない。今から助けを呼んでも間に合わないだろう。周りには僕しかいない。 ……行くしかない。もしかしたら自分が刺される結果になるかもしれないが、これを無視したら一生後悔する、絶対に。何にも夢がない僕が身代わりになって夢を持っているかもしれない、やりたい事があるかもしれない彼女が生き残るのなら、むしろ万歳だ。 不思議とまったく恐怖は感じなかった。逆に僕のおかげで彼女が助かったらようやく生きていた意味になるという喜びに似た感情しか感じなかった。 僕は走る、名前も知らない彼女を助けるために。男は追うのに、中学生は携帯に、夢中でどちらも僕の存在には気づかない。 僕は走る、そこに答えがあるのではないかと希望を抱き。3人の距離がだんだん詰まっていく。 僕は走る、生きているという事に対して意味を見出す為に。間に合うかギリギリのタイミング。 とても長く走っているような気がしたがナイフが見える距離だからそこまで離れてはいないはずだ。スローモーションで見ているかのような感覚。まだ、間に合う。 ここからいろんなことが起きた。男が上着からナイフを出し、刺す構えに入る。僕が中学生の肩を持ち、手前に引く。そのまま手前に倒し、その勢いで僕が中学生のいた場所に飛び出る。男が驚愕の目をして、しかしナイフを止めることなく前に突き出す。状況が理解できない中学生が、音にならない悲鳴を上げる。ナイフは止まらない。 ブスッ 冷たい何かが僕の腹に侵入してくる、とても気持ちが悪い。激しい痛みを感じ、すぐ感覚がなくなる。温かい液体がにじみ出る。覚悟はしていたが体験した事がない感覚に強烈な嘔吐感に襲われる。立っていることができなくその場に倒れこむ。その時ナイフが男によって引き抜かれた。今までにじみ出る程度だった血が流れ出る。さっきとは違う消失感と言うべきであるのだろうか、そんな感覚襲われる。男はやっぱり模倣犯だったのだろうか刺した本人が一番驚き、恐怖し、そして興奮していた。意識が朦朧としてきた。見える景色がぶれて、地面に倒れたまま動けない。力を振り絞って男の方を見ると、余程すごい顔をしていたのか、またも驚き、恐怖し、そして優越感とも達成感とも言えぬ顔をし、走り去っていった。 消えかける意識の中、何を言ってるかわからなかったが、中学生の声が聞こえた気がした。 良かった。助けることができた。こんな状態になった今、しかしそれが何よりも嬉しかった。 「……だ、い……じょ、ぶ……だっ……た? ……よ、か……」った。言い終わる前に目の前が真っ暗になった。 (2) 「……っん?」あれ……ここ何処? 家では無さそうだ。何処かのベッドに寝ているらしい。まず起きるか、と思って上半身を上げようとすると、 「……っ!」なんだ? この痛み、というか違和感は。いつもの腹痛とは違ったむずむずする感じ。 そっと刺激しないように体を上げると、そこは病院のベッドだということに気付いた。点滴がポタポタと音を立てている。そして、そこにいる人を見てすべてを思い出した。そこにはあの中学生と思われる子が疲れたのか、椅子で寝ていた。 「僕、い……生きてたのか……」なんというか、実感がわかない。あの出来事がとても昔にあったことのように感じる。 それにしても僕よく生きてたなぁ。腹に違和感があるがそれぐらいで、もう危険な状態ではないだろうことを感じる。変な言い方だけど刺された所がよかったのかな。 むやみに動くことはしないがいいと思い、じっとしていた。と言ってもこんな経験初めてだから何をすればいいのかわからない(何故か医者を呼ぶという発想には至らなかった)。とりあえずこの子を起こすのも悪いので見つめることにした。 こんな近くで女の子の顔見たことなかったからなんだかドキドキするな。もしかしてずっといてくれたのかな? 名前なんて言うんだろう? 今何歳なのかな? 中学生だとは思うけど何年かな? と、くだらないことを考えながら十分ぐらいたった。特にやることもなく暇で、その上目の前に女の子が寝ている。……健全な男子には軽い拷問だと思う。 頬柔らかそうだなぁ。す、少しぐらい触っていいよね? プニッ なんですかこの柔らかい頬は! と調子に乗って触っていると、 「……んっ、ふぁー……っ!」あ、起きた。 すると無言でこぶしを握って―― 「待った、待った! 俺怪我人だから!」 「だからって寝ているか弱い女の子の頬を触っていいことにはなりませんよ、えっと……」怒られた。というかこぶしを握りながら“か弱い”って言われても、ねぇ? 「高橋だよ」 「高橋さん! 二度としないでくださいね!」とても怒っていらっしゃる。まずは落ち着かせなければ。 「わ、わかったよ。わかったから落ち着けって。」 「あ、……すいません、つい……助けてもらったのに失礼ですよね」落ち込んじゃった。 「いや触ってた俺が悪いんだって」 「まぁ、そうですね」と顔を上げた。 「……」心に何か突き刺さったような音がした気がする。 「それより今回は本当にありがとうございました。おかげでどこも怪我をしないで済みました。私がメールをしながら周りに注意せず歩いていたばっかりに……こんなことになってしまって……」すこし涙ぐんでいる。感情が豊かなというかなんというか。いじり甲斐がありそう……って何を考えてるんだか。でも、不思議と喋っているだけで落ち着く感じ。今まで感じたことないものだ。 「俺は大丈夫だから、ね? 泣かないで?」 「高橋さんのおかげです。本当にありがとうございました」と、深くお辞儀をされる。今までこんなにも他人に感謝されたことがなかったのでとてもいい気持ちになった。何かを見つけた気がする。僕のおかげ……か。いい響きだな。 「顔をあげて、えっと……」 「相川咲です。」顔を上げて言う。咲……か。いい名前だな。 「じゃあ相川さん、もう歩きながらメールをしちゃダメだよ?わかった?」 「絶対にしません! 誓います! ハリセンボン食べます!」 「絶対ね、俺も何度も助けられるわけじゃないから」少し笑いながら言う。ていうかハリセンボン食べるじゃなくて針千本飲むの間違いでは? 「はい」ようやく彼女も笑ってくれた。 少しして医者が来て、傷があと少しで重要な臓器に達していた事や、彼女がすぐ救急車を呼んだおかげで一秒も無駄にせず治療を施せた事、血はたまたますぐに用意できるものがあり、輸血がすぐ行えていろんな意味で幸運だった事を聞かされた。どうやら医療費は彼女の家族が出してくれるようだった。 その後警察が来ていろいろ聞かれた。覚えていることは全て話したし、その他の目撃証言があるらしく、捕まるのはすぐだろうとの事だ。連続通り魔とは方法が違ったり、エリアも違ったりと違いがいっぱいあるようで(あまりニュースを見ていなかったからよく知らなかった)、同一犯ではなく模倣犯であろう、と警察も考えているようだ。 警察が帰ってからも相川さんと少し話した。簡単な自己紹介や(僕はやっていないが)部活、最近はまっていることなどいろんな話をした。そして忘れた頃に何回も謝られたり感謝の言葉を言われたりした。そして、 「では私は行きますね」おもむろに彼女は立ち上がった。 「そうかぁ、もうちょっと喋りたかったなぁ」 「じゃあメアド交換しましょう。それなら喋れるから」と携帯を取り出した。 「いいの? じゃ……」と言いかけて、思い出した。そういえば家だったな、携帯。 「携帯は家にあるからここに書いておいてくれるかな」近くにあったメモ用紙のようなものを指す。 「……これでいいですね。本当にありがとうございました」また深くお辞儀をする。お辞儀ってすごい。気持ちがすごく伝わってくる。 「帰り道気を付けてね」 「はい。お見舞いにまた来ますね」と笑顔で出て行った。 「うん、またね」 彼女が出ていった。一人になる。いつもならまたあの僕が現れるのだが、そんなことはなかった。というか、そんな僕はもういなくなっていた。 そんな事よりさっきの顔と言葉が頭から離れなかった。惚れたわけではない。さっきの心から僕に(自分でいうのもなんだが)感謝していた顔。そして……“ありがとう”。 そうして何かを掴みそうなところで、外から声が聞こえた。 「ここか? ここだな。」この声は…… 「高橋さんよー、桜城様がお見舞いに来てやったぜ」……桜城だ。 「すいません、あいにく友達にそんな人はいないのですが、どちら様でしょうか?」冗談で返す。 「おいおい薄情だな、ってもしかして記憶喪失か? そうなのか? そうなんだな!」心配しているんだか、ふざけてんだか。 「病院で大声出すんじゃねーよ、腹刺されて記憶失う奴が何処にいんだよ、ばーか」ここは病院なのでここらへんで切っておく。 「覚えてんじゃねーかよ、それにしてもお前が命懸けで人助けとはねぇ? あれか地震雷火事親父か?」それ絶対意味違うだろ。いうならせめて“地震の前触れか?”だろうが。まぁ、冗談言って暗い気分にさせないっていう桜城なりの優しさなのかもしれないが、真意の程は分からない。 「何言ってんだお前? 俺は正義の味方タカハシレンジャーのホワイトだぞ?」声を抑え目で冗談を言う。 「ホワイトとかいんのかよ、絶対薄いキャラだろ」 「白だってやるときゃやるんだよ。豆腐ビームで一撃さ!」 「なんだそれ。俺には効果抜群だな」と笑って返す。 そしてその後学校のことやくだらない話をいつもみたいに喋った。しかしコイツはほんと……一緒にいると楽というか。そして五分程喋った後急に、 「とりあえず俺忙しいから帰るな」はい? 桜城さん? まだ五分しか? 来たのはありがたいけど……え? 「もう帰るのかよ。お前は台風か?」 「俺は特急列車だぜー。次は終点俺の家ぇー、俺の家ぇー」何を言っているんだか。 「何言ってんだお前、とうとう頭のねじ外れたか?」 「将来は新幹線の運転手になったるわー」そうしてしゅぽしゅぽと言いながら歩き回った。……それ新幹線じゃないし。それにしても将来……か。 「お前が運転手の新幹線には乗りたくないな。てか小学生かよ」と皮肉を込めて言う。 「そゆことでー」気にせず行ってしまった。でもこんな短い間だったけど元気にしてくれる桜城はいい奴だ、と今更“親友”の良さに気付く。 そう言えばあいつが俺に声かけてきたんだっけ。ふと入学式の日を思い出す。僕は中学のようにならないように“オモシロキャラ”で通そうと思っていたのはいいが、元はそんなキャラでもないので何をすればいいのかわからなく、そんな時声をかけてきたのがあいつだ。 入学式が終わりみんなでしゃべる時間があったとき突然、 “俺は夢の世界からやってきた道化師だ”と言ってきた。何を言ってるんだろうと思ったがチャンスだと思い、 “俺もだ……もしかして向かいの家のやつか?”と返した。とっさに浮かんだことを言っただけだが、 “そうだったな! 名前は確か……”乗ってきた。 “高橋だ” “そうだそうだ! 俺は桜城だ。見たことがあると思ったら向かいだったか!” “そうだ!……”と何を言えばいいのか詰まってしまったが、 “……ふふっ。お前とは気が合いそうだ。これからもよろしくな”と言ってくれた。 これが初めての会話だ。今考えてみると初対面でこんな事を言ってくる桜城は相当変わってる、と言うか狂ってる。でも僕が戸惑っていることにでも気付いたのだろうか、皆にも言っているのだろうか。まぁどちらにしろ、このおかげでどうにでもなれって開き直って、どうにでもなれ精神で今に至っているのは間違え無いのだが。 「いつもありがと、な」もう姿がない“親友”に言った。 (3) その後、毎日のように桜城と相川さんが交代で(たまたまそういう周期になったようだ。桜城に変な噂をされないから幸運だろう)お見舞いに来てくれた。その間に、うちの学校は男女問わずサッカーなどのスポーツに秀でている人をスポーツ特待生として迎えているのだが、相川さんもそのスポーツ特待生であることと、今年の4月から同じ学校になることを知った。その事を聞いた僕はなんだかとても申し訳ない気持ちになった。そして昔の自分をひどく軽蔑した。こんなにも自分の夢に向かって毎日頑張っている人がいるのにもかかわらず、僕は何もせずただ“いい事”を待っていただけだった。こう思うことができたのも相川さんのおかげだ。彼女は会うたびありがとうと言うのだが、本当に言うべきなのは俺の方なのに……まだ一度も言ったことがない。 若いからなのか順調に回復し、終業式には出られそうだ。結局お見舞いに来たのは相川さんと、桜城を始めとしたクラスメイトだけだった。叔父は連絡すらよこさなかった。僕がこんなことになったことを知っているのかどうかもわからない。だけれどまったく嫌な気持ちにはならなかった。一人じゃない。それだけで十分だった。今僕の心は言葉にできない充実感で満たされている。 一人じゃ、ない。 何週間ぶりの登校だろう、数える気が起きない。輸血が早かったとはいえ最低限だったので血の量が生活に支障を及ぼさない量になるまでが長かった。長らく運動をしてなかった故に筋力が落ちていて坂は走っては登れなかった。でも心の中ではスキップしていた。こんな気持ちのいい登校は初めてだ。クラスのみんなが寄せ書きをしてくれた、僕の事を考えて。僕の心配をしてくれる人がこんなにもいた。自殺していたらみんなを傷つけていたところだった。でも今僕は、生きている。生きている。 「はぁ、はぁ」やっぱりこんなところに建てる校長はどうかしている。まぁこの場所を決めたのが校長かどうかなんて知らないが。 今日は筋力の事もあり少し早く来た、というか早すぎた。朝の点呼まであと三十分。 「……暇だ」 暇なので、もう気づいたら一年もいるこの学校を見て回ることにした、といっても行く場所は一つだけなのだが。 もう一年経つのか。孤独からの脱出がしたくて、偽の自分を演じる事しか思い浮かばなくて、桜城のおかげで馴染めて、でも本当の自分が埋もれていって、新しい孤独感を感じるようになって、そんな一年だった。 でも最後にとても“いい事”があった。彼女に出会った。彼女に出会ってあの顔を見て何かを感じた。 腹にむずむずする感覚を覚えながら梯子をのぼる。一番高いところに立ってあたりを見渡す。 「ふぅ、着いた。ちょっと疲れたな」 この一年お世話になった屋上に感謝の意を持ちつつ今日も横たわる。というか朝もここの扉開いてんだな。まぁ深くは考えないが。 「一年、か」 この場所が無かったらどうなっていたのだろうか。不意にそんなことを考える。ここに来るのは何故だったのだろう。別に来なくてもよかったとも思える。ここに来たからといって大きく変わったことはなかったはずだ。偽りの日常はいつか日常になり、偽りの自分はいずれ本当の自分になっていくだろう。誰も変化に気付かないで時は流れるだろう。 「そろそろ桜だな」 でも僕はその答えを知っている。自分が無くなるような気がして嫌だったのだ。怖かったのだ。ここに来ないと本当の自分を忘れてしまう、そんな感情があった。結局僕は、僕なのだ。自分を失ったらもう自分ではない。 「少し温かくもなって来たな」 人によって生き甲斐は違う。彼女のようにスポーツに打ち込む者、勉強して自分の好きなものを究める者、芸術で自分を表現する者、いろいろな人がいる。僕はどうしたいのだろうか。 “ありがとう” あの時の顔。何か……すごく、なんというか、表現しにくいが、綺麗だった。温かみを感じた。すごく気持ちよかった。もう一度言われたい。そう感じたし今も感じている。 「卒業、ね。三年とはほとんど交流なかったから全然実感わかないな」 犠牲を払ってでもあの顔が見たい。これが感じた“何か”だ。それほど澄みきった顔だった。そうだ、澄みきっていた。これが正しいかもしれない。 「僕には僕を祝ってくれるような後輩ができるかな……っとそろそろ時間か」と梯子に手をかける 漠然としてて何を最初すればいいのかわからないが目標はできた。一瞬下を見て、でもすぐ教室へ歩き始めた。落ちようなんて気は起きなかった。 終業式から暇な春休みを過ごし、すぐ始業式になった。春休みはあの子とメールしたり、宿題したり、いきなり桜城が来たりとダラダラしていた。やっぱり叔父から連絡はなかった。 そして新クラスの発表だ。……お、桜城と同じとこか。正直言って嬉しい。 「おーう、久しぶりー」噂をすればってやつか? 「おーう、って昨日遊んだばっかだろ」 「そうだったけか? 知らんなー」相変わらずの調子だ。 「そーか、俺は昨日別人と遊んでいたんだな。なら昨日約束した物はお前じゃなくてそいつに渡さきゃな」こちらもいつもの感じで乗る。 「おいおい、そらぁやめてくれ。俺が悪かったよぉー。それよりもってきてくれたのか!」 「まあ、約束だったしな。ほれ」なんか読みたい漫画があったらしい。 「おおおお! 持つべきは親友だな!」教室のニューメンバーがイタイモノを見るような目をしている。クラス変わったっていうのにほんとコイツは。でも、親友か……なんか照れるな。まあ顔には出さんが。これでも演技には慣れてるんでね。 「いきなり大きな声を出すなよ。びっくりするだろ」そんなことを言いつつ、いつも通りのこいつを見てホッ、としている俺がいる。 「すまんすまん、この漫画今、俺の中で期待度ナンバーワンなんだよぉ。お前どう思った?」 「お、おもしろいんじゃね?」実を言うと全然面白くなかった。どこが面白いんだ?って感じ。お試しで買ってみただけだったし。 今後買うことはないだろう。 「おうおう、わかる奴はわかるんだよなぁ。そうだ、今年もよろしくなあ」 「またお前かよぉ。ついてないなぁ」なんて言いながら嬉しいのは秘密だ。 「ひっでぇ。じゃあ俺もそうだしー」 「じゃあってなんだよ。それよりそろそろHRだぞ」 「また先生あいつかぁ、まあいいけど。ほら席座ろうぜ」 「俺が先に言ったんだがな」そうだっけか? と言って席へ座った。 フュー となりを風が通りすぎる。でも冷たくない、春の風だ。 始業式はだらだらとした校長の話をウトウトしながら聞き流して、気づいたら終わっていた。もちろん今いるのはここ、屋上だ。やっぱり落ち着くのだ。 いい天気のせいか何だか眠くなってきた。少し寝ようと思ったその時、 カンッ、カンッ と誰かが昇ってくる音がした。 おいおい、もしかして先生か? まずいぞ。鍵などはなかったとはいえ勝手に入っていることには違いはない。 なんて一人であたふたしていると、 「あ、本当にここにいたんですね! 先輩のクラス行っても居なかったので、桜城先輩? っていう人に聞いたら多分ここだって言われたので来てみました」彼女だった。そう言えば昨日が入学式だったはずだ。 「なんだ、相川さんか。先生かと思ってドキドキしちゃったよ」 「あ、すいません。もしかしてお邪魔でしたか?」 「いやいや、寝ようとしてただけだし。とりあえずここ座ってよ」と隣を指さす。 「では失礼します。それにしてもいい眺めですね」 「教室にいないときは大体ここにいるんだ」 「どうしてここに来るんですか?」 その時、 「相川さん、聞いてほしい話があるんだ」その言葉は無意識に口から出ていた。 このもやもやした気持ちを彼女に話そうと思った。ほかの人には言えないけれど彼女なら言える気がする。その先の答えも…… 「どうしたんですか、改まって」彼女は何のことかわからないような顔をしている。 「俺はね、」 「もしかしていつもの冗談ですか? 俺はスーパーヒーローなんだとか……」そうか、いつもそんなこと言ってたっけ。でも今回は違う。 「いや、僕はね」その瞬間彼女は黙った。いつもとは違うと感じたらしい。 「あの事件の前まで生きる希望がなかった。突然言われても困るだろうけどそうだったんだ。親もいなかったし、親戚には邪魔者扱いされるし。学校でも偽りの自分を演じてたんだ」彼女は急な話に驚いてるようだが、それを言葉には出さなかった。 ごめん、相川さん。でも少しだけ、聞いてくれるだけでいいから。 「でもあの事件があって、運よく助けることが出来て、相川さんに“ありがとう”って言われた。あの時すごく、なんていうか……今までに感じたことのない……喜び、そう喜びを感じたんだ」彼女は黙って話を聞いている。 「こんなことを相川さんに言うのも変かもしれないけどあの顔がまた見てみたいと思ったんだ。将来に希望なんてなかったけど、その時確かに……なんていうか……」ああ、このあとだ。僕は何がしたいんだ。 「えっと……」 「いいんじゃないですか」不意に口を開いた。 「え?」 「つまり人に感謝されるようなことがしたいっていうことでしょう? そういう職業に就きたいっていうことでしょう?」 「そこまでじゃないけど、そういうことかな」そうだ。そういうことか。 「深く考えなくていいと思いますよ。自分のやりたいことは自分が一番わかってるものですから」そうだ。自分は自分が一番知っている。 「そうだね、ありがとう。話聞いてくれて。あと……今までも」ようやく言えた。 「どういたしまして。でもお世話になってるのは私も同じですよ。いつもありがとうございます。そしてこれからも」 「よろしくね」相談してよかった。もやもやが一瞬で吹き飛んだ。 「でも」 「でも?」 「なんか初めて本当の先輩を知った気がします」どういうことだろうか。 「そう?」 「そうですよ。なんかわざと明るくしてたみたい」なんだ、バレてたのか。なんだか笑えるな。 「つまらなかった?」 「そういう意味じゃないですけど、なんか知れてよかったです」 「なんだよ、それ」でもなんとなくわかる気がした。 空を見上げた。となりでも相川さんが空を見ている。無意識に手が伸びていた。そして相川さんも握り返してくれた。 今年度がはじまる。 空はどこまでも続いている。 (4) 男が暗闇を駆け抜けた。何かに取り憑かれたかのように、ただひたすらに走っている。しかし急ぎすぎてか足が噛み合わず、彼が思っているほど速度が出ていない。 とうとう男は足がつんのめって転んだ。 カツン、カツン その後ろから忍び寄る影。少女に見える。が、男はその少女に怯えていた。 少女の手にはナイフが握られていた。 「こっちに来るなあ、来るな、来るなあああ」 しかし少女は何も聞こえなかったかのように歩みを進める。そしてナイフを突き出して言い放った―― 「死ね」 「うわあああああああ」情けない声が図書館に響き渡った。 「ちょ、何そんな大きい声出してんのよ、桜城。外出るわよ」予想外の声に驚いたのか、慌てた彼女に手を引かれて外に出た。 図書館の自動ドアを抜けた瞬間にびゅー、と生温かい風が体を包んだ。 「ってお前が悪いんだろ。あんなの読んでる最中に耳元で、さらにナイスタイミングな時に『死ね』って言うから」 「そもそも何であれ読んでるのよ。私ちゃんとカバンに入れといたわよ。勝手に読んでるのが悪いと思うんだけど」とこっちを睨んでくる。たしかにそうだ。ちらっと二つ折にしたプリントが見えたから興味本位で読んでしまったのは確かだ。 「あー、そんなことよりさアイス食わない?」 「そんなことって……いいの?」 「いいよいいよ、おごるよ、あはは、はは」こいつは甘いものとかが好きだからとりえずこういっとけば何とかなる。……だけどお金あったっけか? 「あっと、えーっと、お金無い……かも」 「は? 一回おごるって言ってくれたのにおごらないと食の神から天罰おとされるわよ」 「食の神って、食の悪魔のことだろ……」 「だれのこといってるの?」 冷めた笑顔がこわい……無言の威圧とはこのことか。 結局ポケットの中にたまたま入っていたお金で買わされてしまった。 「でさ」ペロペロとアイスを舐めながら、彼女は言った。 「なに?」その前になぜ俺はアイスがないのだ。 「あれ、どう思う?」 「ああ、あれお前が書いたんじゃなかったの? 誰が書いたの?」 「えーっと、いいからどう思う?」 なんか様子が変だな、と思ったが思ったことをいうことにした。 「なんていうかな。なにか伝えたいんだろうけど、よく分からなかったわ」 「……」どこか一瞬さびしげな顔になった気がした。 「ん? どうした?」 「うんん、なんでもない」気のせいだったのかいつもの顔に戻る。 「そうか、でさ昨日さ……」 そう。俺は気づかなかったのだ。何を伝えたいかを……。 ガシャン 皿が落ちて割れる音がする。いや、正確に言うと落ちたのではなく、投げた皿が割れた音だ。机の上に置いてあった食器を全て床に落とす。もちろんその上に盛られていた料理も、床にばらまかれた。 「何をやってるんだお前は!」この声はあの憎い父の声だ。 「止めてえええ!」この情けない叫びは母のものだ。 うるさい。だまれ。おまえらに何がわかる。私の何を知っている。 私はそこにあった植木を乱暴に倒した。 消えろ。消えろ。消えろ! 朝。クラス内はいつも騒がしい。そう、吐き気がするぐらいに。それにどこか息をしにくい。この空間にいる事だけで窒息死しそうだ。いや圧死かもしれない。この空気につぶされて……逃げたい。帰りたい。でも帰る場所は? そんなの……ない。 その時彼が教室に入ってきた。桜城だ。入ってきた瞬間、さっきの押しつぶされた空気が散って行った。彼はほかの人とは違う。一緒にいても苦しくない。唯一の居場所……そういっても過言ではない気がする。でもそう思われてると知ったら彼も迷惑だろうな……私なんかに…… 彼はクラスの男子と楽しそうに喋っていた。彼はクラスの人気者。それに比べ私は一人座って、誰とも話さずに、ただ彼を見つめていた。私はクラスのいらないもの。一緒にいていい二人ではない。でも…… 「よお、神津。おはよー」でも彼は私に声をかけてくれる。 「おはよう、この前はアイスありがと」 「ん、今度からは買うことにならないように努力するわ」と笑って言う。 「えー買ってくれてもいいじゃん」 「貯金がなくなるだろうが。ああそうだ。前さ――」 彼と話してると、ここが教室だということを忘れられる。心で思ってることを口に出せる。楽しい。でも…… 言葉に言い表せない、どこか矛盾したような感情に、私は拘束されていた。なんで私はいつもこうなんだろう。 今入ってきたニュースです。また通り魔事件が発生しました。しかし今まで全く目撃情報がなかった犯人について、今回は目撃情報がありました。犯人は男ではない可能性が出てきました。目撃者によると犯人が逃げる際、顔を隠すために着用していたと思われる覆面の隙間から女性のような長い髪が出ていたのを見たとのことです。 「あの子はどうしてあんな子に育ったのでしょうか」 「姉はあんなに優秀だというのにあいつときたら……」 「教育は間違ってなかったはずよ、姉は優秀なんだから。あの子が悪いんだわ」 「そうだ、お前は悪くないよ。あいつがいけないんだ……一家の恥だ」 夜も深くなってきた頃、私は家ではなく人気のない道に一人で立っていた。いや、全く人気がないわけではない。 目の前に一人だけ人がいる なぜか私は笑っていた。
https://w.atwiki.jp/usamimibutai/pages/216.html
・テンプレート 下記をコピペしてシミュレシピを貼ってください。 ■シミュコメント ここさん用DEF複合ステ もうちょっとでF190になるけど・・・ ランダムが勝負ですね! ちなみにHPとSPはカンストなのでペットスキルは経験をお勧めb byヘカテー 【再振りログ】 LV 1 Bonus 50% Xien 剣系 STAB/DEX LV 2 - 12 DEX 極振り 14up LV 13 DEX, DEF LV 14 - 19 DEF 極振り 18up LV 20 - 24 HACK 極振り 17up LV 25 - 62 DEX 極振り 40up LV 63 - 67 DEF 極振り 14up LV 68 DEF, HACK LV 69 - 73 HACK 極振り 13up LV 74 HACK LV 75 - 84 DEX 極振り 9up LV 85 - 93 DEF 極振り 19up LV 94 DEF, HACK LV 95 - 103 HACK 極振り 18up LV 104 LV 105 - 111 DEX 極振り 6up LV 112 DEX, DEF LV 113 - 140 DEF 極振り 39up LV 141 - 143 DEX 極振り 2up LV 144 DEX, DEF LV 145 - 162 DEF 極振り 20up LV 163 - 170 DEX 極振り 6up LV 171 - 178 DEF 極振り 9up Xien 共通系 DEX/AGI LV 179 - 187 DEF 極振り 10up LV 188 DEF, HACK LV 189 - 191 HACK 極振り 6up LV 192 - 228 DEF 極振り 35up Xien 刀系 HACK/DEF LV 229 - 232 DEF 極振り 4up LV 233 HACK 極振り 1up LV 234 - 240 DEF 極振り 6up ルシアン/斬り Bonus 119 / 239 Point 3 LV 240 STAB 180 HACK 75 INT 1 DEF 189 MR 1 DEX 220 AGI 26
https://w.atwiki.jp/kof2002/pages/534.html
ロバート・ガルシア ガードクラッシュ狙い スタート間合いより少し離れた間合いくらいまでなら、弱龍撃拳でガードクラッシュさせたのを確認してから今日龍虎乱舞を出しても確定する。 あと…もしかすると、相手体力枠が点滅し出したら弱龍神脚を多用してもいいかもしれないです。 ヒットしたらおいしいですし、ガードされてもガードクラッシュさせてたら連続技が確定するはずなので。 強の龍神脚はガードクラッシュ値が低すぎるため、確定ガードクラッシュを狙いにくいです、残念。
https://w.atwiki.jp/kof98um/pages/377.html
ロバート・ガルシア勝利台詞 相手チーム 内容 汎用 ワイの力みくびるやなんてまだまだ、ひよっこって事やな! 汎用 マーフィーの法則やな。おきて欲しくない事はおきるもんやで! 汎用 ワイは今日、体調が悪かったんやけど、なんとかなるもんやな 汎用 ムキになって戦ってもスキができるだけや!何事も冷静に対処せな! おやじチーム さすがは師匠達や。ワイら負けるか思て冷や汗かきましたわ
https://w.atwiki.jp/suiki/pages/26.html
意味探し ~最後に、私の生きた意味~ あなたは、どんな物が好きなの? あなたは、どこから来たの? あなたは、どんな名前なの? あなたは、どんなふうに私を見てるの? あなたは、どんな顔で、笑うの──・・・? 私はまだ、なぁんにもあなたの事を知らないのに。 それなのに・・・もぅ、お別れなの・・・? 「───っ!!」 あなたは、頭をかかえてうずくまった。 私は、「大丈夫?」って聞こうとした。 だけど、私より先に女の子が「大丈夫?」って言って、かけよった。 「大丈夫?記憶が戻ったのね。 じゃぁ、私の事も全て思い出したよね。ほら、家に帰ろう?」 あなたは、その女の子にうながされて立ち上がった。 そして、家路につこうとする前に──・・・私を振り返ってくれた。 私は、あなたを笑って見送った。 けど・・・心は笑ってなかったよ──・・・ 私の生きた意味・・・ 私は、あなたの生きる意味を探せなかった。 私は、私に生きる意味をくれたあなたの役に立てなかった。 私は・・・役立たずな精霊。 私が生きた意味なんて──・・・ 「ごめん、なさい・・──」 最後に、頬を一滴、しずくがたれた。
https://w.atwiki.jp/dq10_dictionary/pages/1635.html
概要 【魔勇者アンルシア】 【勇者姫アンルシア】 【アンルシア姫】 のいずれかを参照されたし
https://w.atwiki.jp/hentai7c/pages/35.html
【意味が分からない】 DJの常套句。 書き込み内容が理解できない。というよりは 書き込み内容に納得がいかない!甚だ不満だ! という場合に用いられる。 かと言って内容の説明や謝罪を求められているわけではないので その後に解説や言い訳のレスを書くとDJ、他のリスナー両方から 空気嫁!という扱いを受けるので注意が必要。 極稀に内容はないのだがDJのツボに入ってしまったというレスに対して 独特の引き笑いに乗せて賛辞の言葉となることもある。 なお、DJの側近たちは「ひみがわからない」と発音する。 発音の由来については諸説あるが、ジングル職人が有する「あややボイスライブラリー」に 「ひみがわからない」 としてこの台詞が登録されているからというのが有力。
https://w.atwiki.jp/sousakurobo/pages/32.html
結局彼らに逆らうわけにもいかず、私はとぼとぼと彼らの後を追うことにした 背の丈まで伸びた雑草の道は非常に歩きにくくめんどうくさい まったく彼らの素性を知らずについていく私も阿呆なのだが……それ以上に それ以上に純粋な好奇心が、今の私を突き動かしていた 今までの生活の転機になるかもしれない。花畑とガレージを行き来する、変わらない日常を だが私はそういう希望を抱く反面、どこか妙な不安を抱いた。本当に変わって良いのだろうか こんな日常でも、何か意味があるのではないか――と 気がつくと1NEと青年型の姿が消えていた。そして私の目の前には―― 「博士」のガレージが門を構えていた。……あぁ、残念 やはりこの日常は変わる事はないか。何が転機だ、馬鹿馬鹿しい 私は吐けないため息を吐くようなつもりで、ガレージに向かお…ん? いや、待て。彼らは一体何なんだ? 何の為に私の前に現れた? 熱で浮かれてた為に見た夢か? 否、私は機械だ。夢なんて見れるはずが―― ふと、一番思いつきたくない事が思い浮かぶ。まさか……故障でもしているのか?私は 自分の整備に対して手を抜いた事など断じてない。断じて無いのに が…気づけば私はその場に蹲っていた。蹲るという動作は知っていたが――なぜこんな行動をしているのか 私にはまったく理解できない。いや、理解したくない。だが――私の意志とは無関係に 私の視界は薄暗くなっていく。やがて為すすべなく。視界はプッツリと閉じた 言語機能が次第に麻痺していく感覚に、私は今まで抱いたことの無い不安を抱いた これが――恐怖感というものか。知っていた。存在は知っていたがこれほど気持ち悪いものだったとは いやだ、いやだ。なんともいえない不快感が私の全身を覆う。もう身動きも取れない 「博士」、なぜ貴方は――感情なんて機能を私に組み込んだのか これほど苦しく、つらく、悲しいものだったなんて―― 消えていく一抹の心細さの中で、私はふと思い出す 「博士」と呼ぶ私の製造者である男の名を――私は知らない …… 「聞こえるかい?」 ……どなた? 「君に声をかけた、男のアンドロイドだよ」 青年型……でいいのかしら? 「そう。けれどその呼ばれ方は少し……」 ごめんなさい、そう呼ぶ以外になんて呼べばいいのかわからないの …それで、今の私は一体どうなってるの 「心配は要らないさ。機能を停止させた訳じゃない ただ、今の君の身柄は僕が預かっている。「彼」に悟られないようにね」 さっきから聞きたかったんだけど、あなたの言っている「彼」って人は―― 「博士」と同一人物と考えていいのよね? 「そうだ。君を作り出し、君にプログラムを植え付け―― 君に人類の全滅を教えた、ね」 ――そう。としか私は返事できない。どっちにしろそうする以外無い 「驚かないんだ。まぁ当たり前か。で、君はどう思う?」 どう思うとはどういう意味? 「だから、「彼」が人類が全滅した理由について語らなかった事さ。不審だと思わないかい?」 そんな事言われても、「博士」は私がそれを聞く前に亡くなってしまったし …けれど知りたいわね。貴方が人類が全滅した理由を知っているなら 「本当に知りたいのかい?」 ええ。出来るなら 「……その前に君に聞いておきたい事がある。君はどこまで「彼」を信頼している?」 え? 孤を突くような質問に、思わず私は首を傾げた。信頼って? 「だから、君はどこまで「彼」の言うことを信じているかって事さ 「彼」の言うとおり、人類は全滅し、1NEのようなロボットは駆逐された けど、君はその様子を実際に目にしたことはあるか? 人類がロボットを駆逐し、人類が忽然と消える様子を」 思わず思考が詰まる。確かに青年型が言うように、私は「博士」から聞かされただけで、実際にその現場に立ち会った事は無い けど――それでどうしろと? 「彼」、いいえ、「博士」の言動をすべて信じた私に 「…それが全滅の理由さ。人類の」 「「彼」は全世界の――1NEの様なロボットにコンピューターウイルスを流し込んだんだ それは自分達が人類から必要とされなくなる、不信感を抱く様な、ね」 ……それと人類の全滅と、どう関係が? 「分からないかい? ロボット達はそう思い込まされる事によって、人々に反乱を企てた 人類はそれをどうしたか、無論自己防衛の為に戦ったさ。けど、ロボット達はもう人類の予想の範疇を遥かに超えていた」 ……もういい 「人類がロボット達によって滅ぼされるのは目に見えていた。さて、人類を滅ぼしたロボットはその後どうなったか」 ……やめて 「滅ぼす目標が居なくなったロボット達は、今度は誰が地球を治めるか決める事にした 俗に言う権力闘争さ。けれど、一度箍の外れた連中は……」 もういい! やめて! 私は思わずはっとする。初めてだ。これほどまでに私は感情を露にしたのは 「…すまない。まず話を整理しよう。まず人類が全滅する要因を作ったのは、君が呼ぶ「彼」、つまり「博士」の事だ そして君は、「彼」に数十年前に作られた女性型のアンドロイドだ。ここまでは良いね?」 理解したわ。……待って。一つだけ疑問があるの。いいかな? 「構わないよ。なんだい?」 その人類全滅と、その要因を作った「博士」に作られ、花畑を管理するよう言われた私に何の関係が? 「それは君が知る意味は無い。そう…知る意味は」 瞬間、バチリと電工ケーブルが切れる様な太い音がして――またも私の意識は途絶えた だが一つだけわかった事がある。このままでは――私の身が危ない 続 ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) +... 名前